SDGsの取り組み

2024.06.03

厚真町森林再生プロジェクト Vol.3

 

北海道厚真町での森林再生に向けた取り組みに関して、今回は、初年度の試験施工を終え、その結果と考察をご紹介いたします!
尚、前回の記事に関しては、下記リンクをご参照ください。
 厚真町森林再生プロジェクト Vol.2はこちら!

◇全体的な所感
初年度の試験施工を終えた一番の感想としては、「土の動きが非常に大きいことを念頭において、緑化工法を考える必要がある」ということでした。
こちらは、昨年春に撮影した写真です。

 

この時点でも、うっすら侵食が起きているのがわかりますが、約半年後には・・・


さらに侵食が進み、溝もより深くなっているのがわかります。
理由は、現場が急斜面かつ砂質土壌であること。
そのため、風雨の影響をもろに受けやすく、結果として侵食が進み土が大きく動いてしまうのです。
土の動きがあると、植物が流されてしまうため、なかなか定着しません。
よって、いかに土の動きを止めるか、が重要なポイントになります。

◇試験施工の結果
今年度は、合計36箇所の試験を行いました。
使用資材による差、種子の有無による差、施工場所(溝の有無)によって生じる差、そういった様々な条件で結果を比較できるよう、工法や場所を工夫して施工を行いました。

結果としては、前述の通り、土の動きを止めることができる工法が、緑化に有利に働きました。
土のう袋や植生袋を使用した工法では、下の赤丸箇所のように、袋部分が土の動きをせき止めるため、そこに自生種(※1)が定着し、緑化することができました。

 


さらに、定着できる場所さえ整っていれば、自生種の生育が予想以上に確認できる、ということもわかりました。
下の写真は、植生袋の施工箇所で、赤丸に生えているのが自生種(ナギナタコウジュ)、青丸がロンタイが配合した北海道産のクサヨシです。
やはり、もともとその土地に生育していた植物は、その土地や気候に適しているため、生育が良いのでしょう。


もちろん、自生種に加えて、あらかじめ種子を配合していれば、緑化のスピードはより早まります。
今回の試験施工では、種子あり工法にはクサヨシとオオヨモギ(どちらも北海道産植物)を配合しましたが、下のグラフからも、種子ありと種子なし(自生種のみ)では、植被率(※2)に差が生じていることがわかります。
特に、自生種が一年草の場合は秋以降に衰退しますが、種子を配合しておくことで、一年草の衰退後も、植生の維持が可能であるといえます。

↑同一工法による種子あり、種子無しの植被率比較グラフ


◇総括及び今後の展望
今年度の試験結果より、以下の確証が得られました。
 ・まずは土の動きを止める。そして、その箇所を基点にして緑化を行うことが解決の糸口となる。
 ・自生種をベースにしつつ、種子を適切に配合することで、緑化スピードを早めることができる。

次年度は、この結果を基に、緑化の基点とする位置の見極めや、より効果的な工法の調査を進め、工法確立に向けて取り組んでいく予定です。
次回は、次年度の試験施工に関してお伝えさせていただきます!
お楽しみに☆彡


※1:ある地域に古くから生育している植物のこと。
   今回の試験施工では、植生袋や土のうに現地表土を利用したため、もともと表土内に埋まっていた種子(埋土種子)や、風によって飛ばされた種子(飛来種子)による発芽・生育が確認できた。
※2:一定の面積内を植物が覆っている割合のこと。 

  
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